(87)この name をどう訳しますか?
文法力(語順の観察力)を磨いて、
あなたの表現力や読解力の
刺激になるように、
今日のメールセミナーでは、
こちらの英文の「文構造」と「意味」を
考えてみましょう。
Everyone she named as a witness denied being there.
文構造もですが、
特にポイントになるのは
named の訳し方(どう日本語にするのか)
だと思います。
あなたが考える機会を大切にしたいので、
少し時間を取りますね。
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ここでは name という言葉が
動詞(しかも他動詞)として
使われています。
Everyone she named as a witness denied being there.
「知識」に軸足を置いて
学習している人であれば、
「name に動詞があるなんて知らなかった!」
という感想を持つかもしれませんが、
「思考」に軸足を置いて
学習している人であれば、
「name に動詞があるかは知らないけど、
この name は他動詞だと考えるしかない」
という判断に至るかもしれません。
もちろん、学習においては
知識も思考も行動も大切です。
さて、named が他動詞だとすれば
目的語Oが必要なわけですが、
named の後ろには目的語Oがなく、
as a witness(目撃者として)という
前置詞句しかありません。
Everyone she named as a witness denied being there.
他動詞(named)を使っているのに
目的語Oが後ろになければ……
そう、「関係代名詞の目的格」が
省略されていると考えられます。
Everyone (that/whom) she named as a witness denied being there.
ということで、
named が他動詞ではないかと
目論んだことをキッカケにして、
文全体の構造が見えてきました。
Everyone:主語S
(that/whom) she named as a witness:修飾語M(関係詞節)
denied:動詞V(他動詞)
being there:目的語O(動名詞)
後はこうした文構造を手がかりに
いったん直訳をしてみると、
「彼女が目撃者として named した人は皆、
そこにいたことを否定した」
という感じになります。
そして最後に、
他動詞 named の意味ですが、
仮に「(人)に名前をつける」という
意味を知っていたとしても、
それを当てはめるようでは、
意味の繋がりを無視しすぎです。
「彼女が目撃者として名付けた人(?)」
これでは意味が繋がらないですよね。
ここでは、
「(人)の名前を挙げる」くらいが
適切ではないでしょうか?
Everyone (that/whom) she named as a witness denied being there.
彼女が目撃者として名前を挙げた人は皆、そこにいたことを否定した。
どうしても私たちは、
自分が知っている単語の意味を
英文に当てはめたくなりがちです。
ただ、そうした機械的な反応ばかりだと、
「それで意味が繋がるのか?」を
考え忘れてしまうものです。
言葉の意味は辞書や単語帳ではなく
文脈(どんな流れの中にその言葉があるのか)
によって決まるものなので、
「文構造」と「文脈」の両方を
観察するようにしていきましょう。
そうすれば、英文法の知識が
表現力や読解力に繋がる
生きた知識となるでしょう。
それでは、またメールします。